◆『心のハーモニー』

【『CDブック しあわせ運べるように』 81ページより】

最初にオリジナルソングをつくろうと思ったのは、新卒で着任した学校で2年目を迎えた頃のことでした。同じ区内の学校の音楽の先生が、公開授業の中で同校のキャンプで歌うオリジナル曲をピアノを弾きながら披露してくれたのです。
子どもたちが真剣な表情で歌っている姿を見て「あぁ、こんなふうにオリジナル曲を教えられたらいいな」と思ったのが歌づくりのきっかけでした。最初につくった曲は、昔フォークソングがはやっていた頃に好きだった『翼をください』のイメージでつくってみました。
それがキャンプソング『心のハーモニー』です。学校行事で行くキャンプで、子どもたち全員がキャンプファイヤーを囲んでいるときに歌う曲としてつくったものです。



キャンプの火を囲んで ひびけ 心のハーモニー
燃える炎を 見つめていると みんなの心が 一つになった
楽しかった スタンツや 友だちの笑顔を
心の中の 思い出箱に しまっておこう
おやすみなさい 山の神様 すてきな思い出 ありがとう
おやすみなさい 仲間たち おやすみなさい



この曲をつくったあとで、その後も継続して作曲をしていこうと思っていたわけではありません。こんなふうに歌をつくっても、子どもたちに受け入れてもらえなかったら、その後は歌をつくることなんて、なかったと思います。
ところが、思いがけず、とてもうれしいことがあったのです。

ある日、職員室で仕事をしていたときのこと。
開けてあった窓から、校庭で遊ぶ子どもたちの歓声が聞こえてきました。そのとき、風に乗って、運動場で私の歌を口ずさんでいる子どもたちの声が聞こえてきたのです。

もちろん最初は、何を歌っているのかわかりませんでした。でも何か聞き覚えのあるメロディーやなと思って耳を澄ましたら、子どもたちが歌っていたのは、授業で教えたばかりのキャンプソング『心のハーモニー』だったのです。